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次回予告

次回の
電光超人グリッドマンRE: は、

           
          「あの声を奪え!」

        
              爆弾怪獣  バルボス


クラスの美少女、美咲に話しかけられたトウマは、一瞬で恋に落ちた。
そして、その声を独り占めしようと、携帯電話に爆弾怪獣バルボスを送り込む。
危ない! その着信は、爆発のカウントダウンだ!


次回、
 電光超人グリッドマンRE:
 「あの声を奪え!」
                   お楽しみに!
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第2話 世界征服同盟

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「ソースラーメン……?」

片桐ゆかり(23)は片桐刀真のいとこである。
定職につかずブラブラしていた所を、海外出張中のトウマの両親に留守をまかされ、
今は居候しつつ自堕落な日々を過ごしている。

「こってり♪ こてこて♪ 濃厚ソースで……う、う、うまうま ソースラーメン♪」

その目はテレビに流れるCMを見ていた。

◆ ◆ ◆

「グリッドマンという隠しキャラを倒した」

復旧したモンスタークライシスの掲示板にそう書き込んだトウマ。

「釣り」
「(笑)」
「自演☆乙」

信じる者はいなかった。


確かに、あの時、自分の怪獣が、あの……『グリッドマン』と名乗った
人……人なのか?……いや、ここはまあ、そいつを倒した。
正確には相打ちだったが。

しかし、この俺をせせら笑ったヤツらを見返さなくては。

……どうする?

あの、戦い。倒した瞬間を見せれば……。


その時、PCにメールが送られてきた。

「『JUNK』から招待状が届きました」
「ジャンク…?」

「なあトウマ、ちょっと買い物してくるから留守番しててな」

急に部屋に入ってきたゆかりに驚き、あわててウィンドウを隠すトウマ。

「おいおい、またイカガワシイものでも見てるな……。どれ、ちょっと
 お姉様にも見せろ」
「ち、違うっての! それよりいきなり入ってくるなよ! 入る前にはちゃんと……」

コツコツ、ゲンコツで軽くトウマの頭をノック。

「これでいいな。 じゃ、ちゃんと留守番してろよ~」
「俺に命令するな!」

雑に結んだ髪をゆらして、ゆかりが出て行く。
「ああいう頭の軽い人種は、苦手だ……」


◆ ◆ ◆

テレビを見つめる片桐ゆかり。
背後には山積みの「ソースラーメン」。

「う、う、うまうまソースラーメン♪」

◆ ◆ ◆

メールに添付されていたサイト。
「アクセスコードを入力してください」

これは、まさか?

「RE」

「・・・」
「・・・」

「認証しました。『JUNK』へようこそ!」

やはり、あのフロッピーに設定されていたパスワードと同じだ。

そしてこのサイト、どうやら会員制のコミュニティらしい。
ただ、実際の会員はほんの数人のようだが。

jet:新入り?

とりあえずハンドルネーム……適当に名前をもじった。

ソード:そう。

jet:あんたもあの黒フロッピーを手に入れたの?

ソード:そう。

jet:とりあえず、ここのルールを教えたげる。ここは、『JUNK』。セカイにはぶかれたガラクタの集まり。

ソード:ジャンク……

jet:でもただのガラクタじゃない。セカイが私達を拒絶するなら、そんなセカイ壊して、
   ガラクタの住みやすいセカイを作る。

ソード:まるで世界征服の秘密結社みたいだがw そんなこと、どうやって?

jet:あなたも見たんでしょ

ん…?

jet:自分の怪獣が動くのを。

◆ ◆ ◆

ゆかりの目はひたすら「ソースラーメン」のCMを求めていた。
商品はどうでもいい。そのCMが見たくて見たくてしょうがない。

この現象は彼女だけのものではなかった。
「ソースラーメン」のCMを見た桜ヶ丘の住人は、TVから離れられなくなっていた。
それはまさに、「中毒」そのものだった。

◆ ◆ ◆

いおん:ソードさんの作戦、面白いですね!

jet:テレビ局のコンピュータ・ワールドを改ざんして、みんな『CM中毒』か。
  あんなマズそうなラーメンのCMが見たくて、必死に箱買いしてるのもいるらしいよwww

目も、鼻や舌と同じような感覚器。
あのCMが、人の「快楽中枢」を刺激する光信号を放出するよう改造したのだ。

このCMを一度見た人間は、その光信号による快楽が忘れられず、知らず知らずに
そのCMにどっぷり浸かり、『中毒』状態になってしまう。

この作戦を実行したのがこの怪獣、
『造型怪獣 ドローガー』。

創造怪獣ドローガー

角と両腕から3原色のカラーバー光線を発射し、あらゆるデジタルデータを生み出すことができる。


ソード:これは第一段階。これからショーを行うんだ。

いおん:しょー?

ソード:ヒーロー公開処刑。

◆ ◆ ◆

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ドローガーのカラーバー光線が、『グリッドマン』の姿を創り出す。

「うろ覚えだから、所々違うかもしれないけど、こんなもんだろ」

トウマはキーを叩き、慣れた手つきでプログラムを調整している。

「あまり弱すぎるとリアリティがないからな。そこそこの能力をつけて・・・・・・
 よし。あとはこれを中毒CMに差し替えて虜にしたヤツらに見せ付けてやるだけだ」

jet:自分のアピールのために、あれだけの人を捕まえとくなんて、
   結構な自己チューね。

ソード:そもそもCMなんてそんなもんだろ? アピール合戦。
    騙されて見ちゃうヤツが悪いのさ。自己責任だよ。

中毒CMで視聴者を確保し、自分の怪獣がグリッドマンを倒すシーンを見せ付ける。
そして、自己満足に浸る。
これが今回のトウマの作戦だった。

しかし、突然の乱入者がこれを狂わせる。

いおん:なんか、別の、プログラムが来てます!
jet:こっちのトラップを突破してくる!

「な、なんだあの光は!?」

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TV局のコンピュータ・ワールドに侵入したその光は、
造型されたコピー・グリッドマンと融合した!

その手が……動く。

「私は……グリッドマン……。いや……生まれ変わったこの姿は……
 『グリッドマン・ナイト』!」

いおん:データが融合しちゃった!
jet:ちょっと、どういうこと?
ソード:そんな……死んだはずだ!

「私とはこの光の意志そのもの! 体を失っても、心ある限り、私は倒れない!」

ソード:そうか……こないだ破壊したのは、体の構成プログラムだけ……。
    残っていた精神プログラムが、ドローガーの作ったコピーを乗っ取ったのか!」

「さあ、街の人達を元に戻すんだ!」

ソード:俺に……命令するな! やれ、ドローガー!

ドローガー、巨大な腕をふりかざし襲い掛かる。
しかし、どうしたことか、徐々にグリッドマンに押され始める。

「しまった……。設定を、強くしすぎた」

ここでドローガー、カラーバー光線で自分のコピーを人海戦術に切り替える。
5体のドローガーに囲まれ逆転、エネルギーランプが点滅し始める。

jet:おお!
いおん:イイ感じ!

とどめを刺そうと突進するドローガー群、
だがグリッドマンが真上に飛び上がり、お互いに衝突してしまう。

jet:ばか・・・
いおん:ああ、やばい

「グリッドォォ・・・・・・ナイト・ブレード!!!」

左腕から放たれた光刃、5体のドローガーをみな切り裂さかれ、消滅した。

「ああ、ドローガー!」

グリッドマン・ナイトの胸から放射されるフィクサービーム・・・・・・。

◆ ◆ ◆

「次こそは、必ず……。この屈辱は、次の怪獣で晴らしてやる!」

「ト・ウ・マくーん」
「ゆ、ゆかり姉さん! また突然……!」

「おやおや~? また何してたんだい?」
「何でもいいだろ! それより何の用だよ!」

「これこれ~美しくて優しいお姉様から、プレゼント」

その手に、ビニール袋に詰められた大量の『ソースラーメン』

「いつのまにかこんなに買っちゃってさ~。しかもあんまおいしくないから、あげる」
「え、ええ?」
「あ、キッチンにまだ残りがあるから」

TVではまた陽気なCMが流れていた。

「う、う、うまうま♪ ソースラーメン♪ デミグラス味も、出たぞ♪」



⇒次回へ続く