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[ 2015/05/31 21:34 ] SS小説 | TB(-) | CM(-)

終末の刻

地球は混乱していた。

現在火星の公転軌道上に発見された
謎の彗星が、さらにその速度を上げたのだ。

各国のスーパー・コンピュータは、
およそ3日後に98.99%の確率で
その彗星が地球に衝突する計算をはじきだした。

既に各地のシェルターは、多くの富豪・政治家・有力者の
予約で満員になっているらしい。
人々は地上で逃げ惑い、全ての法は失われた。
信号を無視した暴走車同士が衝突し、強盗や暴行が溢れかえり、
都市から離れる磁力列車には、助かることに必死な人々が我先にと乗り込んだ。

「乗車ルールを守りましょう。お年寄りの方、体の不自由な方には優先
的に席をお譲りください・・・」人間を満載した列車は、何度も自動ドアを開閉した後、
地方へと発進した。

3日後。

突如として彗星はその速度を緩め、
地球をかすめるように彼方へと飛び去っていった。

科学者達はあっけにとられていたが、ますは自分達が無事だったことを
喜ぶことに躍起になっていた。



地球を去った彗星―正しくは彗星型宇宙船の中で
頭から3本の触角が伸びた銀色の人間が二人、会話を交わしていた。
「久しぶりのドライブなんでついついスピードを出しすぎてしまったよ。
あんなに遅い星がまだあったなんて、あやうく事故になるところだった」
「仕方ないよ。まだ乗組員が発達していないようだし。でも我々が
学ぶべきことも言っていたよ。弱い者に道を譲ってやれって」

[ 2008/12/17 04:09 ] SS小説 | TB(0) | CM(0)

侵略

私はついにこの惑星の覇者となった。
すでに私に歯向かう者はいない。宮殿には私を称える旗がひらめき、
広大な支配地を見下ろす丘には銅像が建設中だ。

さて、この後はどうしたものか。
金に不自由することもない。あらゆる物も私が望めば手に入る。
黄金で彩られた天窓を眺めながら、私は物思いに耽っていた。

そして私は、ふと思いついたのだ。
特に理由があったわけではない。突如としてその気持ちが沸きだした。
まさに神の啓示、私が天から選ばれた証拠ともいうべきか。

「これより、外惑星へと侵略を開始する。用意をせよ」

私はこの小さな世界で留まる器ではないのだ。
より巨大な宇宙こそ、私が支配するにふさわしい。

それからの行動は早かった。
宇宙のあらゆる環境に適応する戦闘円盤。
敵の防衛組織を機能不全にする毒ガス兵器。
さらには敵を我々に同化させる催眠波動砲・・・。

全ては整った。
いずれ私は大宇宙の支配者となるだろう。
誰も歯向かえるものか。私を止められるものか。
欲望のままにすべてを覆い尽くしてやろう・・・。





「いやあ、本当に早いうちに発見できてよかったですよ。
この手のモノは、拡がってからでは手が付けられなくなりますからね。
とりあえず今回はやっつけましたが、今後も油断しないでください」
「先生、それで・・・」
「欲望のまま行動しないことですな。酒、タバコはひかえること」
「はい・・・」

そして男は、「がんを防ぐ注意点」と書かれたチラシを渡され、
疲れきった顔で病院を去っていった。

[ 2008/10/21 05:48 ] SS小説 | TB(0) | CM(0)