空想特撮シリーズ
ウルトラマンファイア
超人間の伝言
登場人物
ヒダカ・マコト
ナナセ・リオ
ハラ・カツヒコ
イヌイ・ケイスケ
アカツキ・マヤ
イザキ・シュウジ
ムカイ・イチロウ
サワタリ・イサミ
村田警部
浪人生
鹿嶋隼人
液体人間男
液体人間女
男1
男2
デラ星人1
デラ星人2
ウルトラマンファイア
「ウルトラQ 空想特撮シリーズ」




1、 暗い住宅街(夜) 切れかかった街灯。
その下、参考書を読みながらそそくさと歩く浪人生。
浪人生 「人類の進化は、猿人・・・・・原人・・・・・旧人・・・・・新人・・・・・。
進化するにつれて脳が大きくなっていく・・・・・」
浪人生の行く手に、黒い水溜りがある。
浪人生 「俺も進化して脳が大きくならないかなァ」
その足が水溜りを踏みつけると、底なし沼よろしく、
ずぶずぶと沈んでいく―――

浪人生 「うわあァァ・・・・・」
指先もドス黒い水溜りの中へ・・・・・
2、 タイトル 「ウルトラマンファイア」

「超人間の伝言」

(F・I) クレジット・タイトル―― (F・O)
「デラ星人 登場」
3、 住宅街(昼) 警察による現場検証が行われている。
野次馬をかきわけ、ヒダカとハラがやってくる。
村田警部「(手招き)お、おいこっちだ!」
ハラ 「村田警部、またシワが増えたんじゃねえの?」
村田 「そりゃあ増やしたくもなるさ。一晩で十人がいっぺんに
蒸発したんだぞ。で、君らの得意分野だと思ってこうして呼んつけたんだ」
ヒダカ 「一晩で――そりゃあ尋常じゃないですねェ」
村田、愛用の手帳をめくりながら、
村田 「失踪者は年齢も性別も住所もてんでバラバラだ。同じ
なのは昨晩出歩いていた、ということだけだ。友野健一、
鹿嶋隼人、沢村・・・・・」
ハラ 「鹿嶋!」
村田 「なんだ、知ってるのか?」
ハラ 「俺の親友だ・・・・・」
4、 ハラの回想・野原 5歳頃のハラと鹿嶋が駆けまわる。
ハラ 「あいつとは子供の頃、よく空き地で怪獣ごっこをしたもんだ。
いつも俺が怪獣だったが・・・・・転校して・・・・・
今では普通のサラリーマンになってるはずだ・・・・・」
5、 LEAD基地・特専ルーム メインデスクのリオ、イヌイ。
リオ 「それでハラ隊員、一人でまだ調べてるんですね」
イヌイ 「でも昨日の今日っスよ、そう簡単に出てくるかなァ」
隊長デスクに座るヒダカ。
ヒダカ 「手がかりが全くないんだ、彼らがなぜ、どんな方法で
どこへ消えたかも――」
イヌイ 「どーせ世間に嫌気がさして、みんなでどこかに行ったんスよ」
リオ 「そのどこかって何処だと思います?」
まじめに聞き返されて困るイヌイ。
イヌイ 「・・・・・宇宙・・・・・とか」
ヒダカ 「宇宙、か――
(目線の先に何か見つける)ん、雨が降るな」
正面を向くリオ、イヌイ。
猫のシャイン、顔をなめている。
6、 雨の裏通り 傘をさし、私服のハラが一人で歩いている。
ハラ 「この辺りか・・・・・あいつが消えたのは」
フッ、と背後の気配を感じ振り向くハラ。
ハラ 「気のせいか――」
と、向き直ると、正面にレインコートを被った男が現れる。

ハラ 「だっ、誰だおめえ!」
鹿嶋 「オレさ。久しぶりだな、ハラ」
ハラ 「鹿嶋・・・・・」
7、 特専ルーム 村田 「(電話/OFF)ってわけで、行方不明の全員が今日になって
皆ひょっこり出てきたのさ。まったく人騒がせな事件だよ」
通信口のヒダカ。
ヒダカ 「まあ、ひと安心ですね。ボカァてっきり宇宙人の仕業かと
思ってたところです」
8、 警察署・取調室(外) ドアの外で、携帯で通話している村田。
村田 「宇宙人!? はっはっは、今回はLEADの出番はなさそうだな。
そうそう、ハラ君もこっちにいるんだ」
9、 取調室内 ハラ 「デラ星人!?」
鹿嶋 「ああ。おっと」
外の村田を見て、小声で耳打ち。
鹿嶋 「刑事には内緒だ。お前だから教えるんだぞ。――実は俺達は昨日、
デラ星人の力で第5の進化を果たしたのさ」
ハラ 「星人!? 第5の進化!? 言っていることが全然つかめねえ」
鹿嶋 「今夜2時、駅から出る電車で待っている」
すると、鹿嶋の体が液体に変わり、ドアの隙間を抜け出て行く。
呆然とするハラ。
10、取調室外 電話中の村田、足元を液体が移動していくことに気づかない。
ハラ 「(部屋を飛び出してくる)待て! 鹿嶋!!」
ハラに突き飛ばされて倒れる村田。
村田 「おいっ、何が・・・・・」
取調室に誰もいないことに気づく。
村田 「こりゃあ――いったい・・・・・?」
11、駅(夜) 路肩に停車するWINDY。
12、特装車WINDY内 私服のヒダカとリオが乗っている。
ヒダカ 「(メット通信)イヌイ、ハラの行方はわかったか?」
13、特専ルーム イヌイ 「それが、シーバーを基地に置いてったみたいで――」
ハラのデスク、カップ麺容器の横に、ぽつんと置かれたカードシーバー。
イヌイ 「で、村田警部に確認したら、昨日発見された人達、
やはりまた全員いなくなってます」
14、駅(深夜) 車外にでるヒダカ。
イヌイ 「(無線/OFF)どれもみんな、煙のように部屋から消えて・・・・・。
中には密室からいなくなった人もいるそうっスよ」
ピッ、と通信を切る。
リオ 「また集団失踪・・・・・。こんなにあちこち調べたのに、
結局手がかりなしでしたね」
ヒダカ 「最初に失踪した人達に加えて、その知り合いも消えている。
このままだと失踪者は鼠算式に増えていく・・・・・。
でも、何のために?」
リオ 「(発見)――隊長! あれ!」
駅に向かってぞろぞろと歩いてくる集団。
身を隠す二人。
駅からレインコートを被った人間が二人出てきて、中に誘導して行く。
ヒダカ 「どこへ行くんだ・・・・・? 電車はもう動いてないぞ」
リオ 「(シーバーで顔を照合し)彼らが失踪した人達です。
あとの数名は新しく・・・・・増えてます」
その中に、ハラの姿もある。
リオ 「ハラ隊員!」
飛び出そうとするリオを、ヒダカが制する。
ヒダカ 「あせらない、あせらない」
こっそり集団の最後尾に紛れ込むヒダカとリオ。
15、駅内 線路に並ぶ人達。
男1 「おい、そろそろどこに行くか言えよ!」
男2 「本当に夢見たいなところに連れて行ってくれるんだろうな!」
ざわつく新参組。
レインコートの男たちがその前に立つ。
その男達が、ドロロ・・・・・と溶け出す。
人々 「うわああ!」
その液体が新たに形を作り出し、宇宙人の形になる。

逃げようとする人達を、最初に失踪していた人達が囲む。
その顔も液体のように波打つ。
液体人間男
「怖がらなくても、宇宙では体の形を変えることは珍しいことではないんだ」
男1 「宇宙・・・・・お前ら、人間じゃないのか!?」
液体人間女
「そう、私達はデラ星人の導きを受け、人間を超えた人間へと進化し、
この滅びゆく星から楽園へと旅立つのよ」
デラ星人1
「君たちは第5の進化を迎えることを許された。」
デラ星人2
「さあ、行こう」

すると、線路の彼方からUFOが飛んできて、
彼らの前に止まる。
男2 「(怖くなって逃げ出す)お、俺はいい!! うわーっ!!」
液体人間が、液状になって先回りする。
男2 「う、う・・・・・!」
追い詰められる男
パシュン!
リオが威嚇射撃を放った。
リオ 「早く逃げてください! 宇宙人! 侵略は私達LEADが
絶対に許しません!」
デラ星人2
「侵略!? 我々は彼らにふさわしい未来を与えるだけだ」
デラ星人1
「彼らは、我らについてくることを選んだのだ」
液体人間、液体化し、今度はリオを囲む。
リオ 「うっ!」
バシュ!
ヒダカがショットを放つ。
倒れる液体人間。
リオ 「隊長!」
ヒダカ 「心配ない。気絶させただけだ」
ヒュオ! ヒダカに飛びかかるデラ星人。
ヒダカ、銃をはじかれそのまま格闘にもつれ込むが、
デラ星人の液状の体には打撃が効かない。
みるみる押され、階段から転落してしまうヒダカ。
リオ 「隊長ォ!」
リオの前に起き上がった液体人間。
リオ 「気絶したはずじゃ・・・・・!?」
ドス、とリオのみぞおちに入る一撃。
(背後から現れた)ハラがリオを気絶させた。
16、駅・階段下 負傷し倒れ、デラ星人に踏みつけられるヒダカ。
ヒダカ 「人間達をどこに連れて行くつもりだ・・・・・!!」
デラ星人1
「言ったろう。彼らにふさわしい未来だ」
口から霧のような光線を吹きかける。
ヒダカ 「ぐっ・・・・・(気絶)」
液状化した腕を使って、ヒダカの懐からブレイズタイマーを抜き取る。
デラ星人1
「さらば、ウルトラマン」
17、駅・線路 線路を抜け、UFOが空に飛び上がる。
⇒Bパートにつづく
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NHKのハナ井Dより嬉しい御連絡、
原作者より先に国外旅行に出た「GEHARHA」さんが、
去る7月、所はアメリカ・LAで開催された
「ニューヨーク国際インデペンデント映画祭」にて
短編映画部門(海外)の部門賞
Best International Sci-Fi Short Award
バン・スペース・インタープリターにかけると↓
「最優秀外国語SF短編映画賞」! を受賞とのこと!
【公式HP(The New York International Independent Film & Video Festival)】
⇒
http://www.nyfilmvideo.com/※道順・・・「Award」→「2009」→「L.A. 2009 July」の先に。
「映画」が「映画」としてどう評価されるかは門外漢なので
いろいろ述べる知識はありませんが、
こうして「映画」というジャンルの
その筋の人にちゃんと伝わって、文化的背景もとびこえて、
受賞に至ったことは喜ばしい限りです。
特撮の画面のどこかには
いまだにVFXで再現できない何か・・・があるのかもしれません。
勉強すべきことに追われて
現在進行形で左脳偏重の日々を過ごす近頃です。
気づけばゲハラ誕生からそろそろ一周年です。
正確には決定稿の投稿から。
その時期に合わせたかどうかは不明ながら、
すたちゃのDVDサイトでは
DVDのプロモ映像!が!
あの超短編特撮がさらに短くなって予告版!
内容はわかってるのに
ああテンポがいいと面白くなってしまうから不思議。
幻の【完結版】といい、さすがの予告マジック。
テロップが「影」でなく「陰」なのはあえてなのだろうか。
ニュアンスは的を得てます。
それにしても、本編よりメイキングが長い特撮DVDも珍しいのでは・・・?
個人的にはオーディオコメンタリーが楽しみです。
←BRの方がメイキングが長いそうです。