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第5.1話 絶滅怪獣現る

空想特撮シリーズ
ウルトラマンファイア


   絶滅怪獣現る
       


登場人物

      ヒダカ・マコト
      ナナセ・リオ
      ハラ・カツヒコ
      イヌイ・ケイスケ

      トヤマ・ヨシマサ

      浅野(宇宙保安員シャギラの依代)・・・・・(男/30歳)

      旅館主人
      LEAD方面隊員



      絶滅怪獣シマアカゴン

      ウルトラマンファイア



 「ウルトラQ 空想特撮シリーズ」
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1、 三ツ森温泉郷(夜) 
                     

     

      絶景の露天風呂。
      浅野は湯に浸かりながら夜の森を眺めていた。

      と、彼方に怪しい光。

      次の瞬間、浅野は光に飲み込まれた。

2、 タイトル                           

      「ウルトラマンファイア」

aban6

      「絶滅怪獣現る」

t-5.1

(F・I) クレジット・タイトル―――        (F・O)

      「絶滅怪獣シマアカゴン 登場」

t5.1m

3、 三ツ森温泉郷(朝)/旅館「宮の屋」エントランス        

       美しい自然と温泉・・・・・

ヒダカ 「たまにはゆったり、自然の中で一休みするのもいいなあ・・・・・」

       ・・・・・と、それは温泉のパンフレットだった。
ハラ  「この饅頭なかなかいけるぞ」
イヌイ 「あっ、それ一個自分の・・・・・」

       奥のソファではハラとイヌイが置き菓子をつまんでいる。
       そこに現われる憤懣やるせないリオ。

リオ  「何くつろいでるんですか! 私達は温泉に入りに来たんじゃないんですよ! 任務で来たんですよ!」

  リオ、ハラから饅頭を取り上げ一気に頬張る。

4、 旅館裏手                           

       パンフレットの新緑の森が、見る影もなく根こそぎ丸裸の山になっている。

ヒダカ 「(パンフレットと見比べて)こりゃひどい」
旅館主人「でしょう? 風景を売り物にしてた私らにとっては大問題ですわ」
リオ  「たった一晩で森がなくなるなんて・・・・・」

5、 三ツ森山                           

       雑草1本残っていない砂地と化した山。

イヌイ 「有毒物質でも流れ込んでみんな枯れちゃったんじゃないっスか?」
ハラ  「んだったら枯葉の1つでも残ってるはずじゃねえか?」
イヌイ 「そう言われれば確かに・・・・・」
       急に2人の足元が揺れ始める。

6、 旅館裏手 
                          

       ヒダカ達の居る場所も地鳴りが起き、
怪獣  「グオオ!」
       山中から怪獣が姿を現す。
リオ  「怪獣!」
ヒダカ 「ははあ、山を坊主にしたのはアイツだな!」
       素早くオーヴァル・ショットを手に、怪獣に向かう2人の背後から、
浅野  「待て。ドンラウスギスギスに手を出すな」

       浴衣にサンダルという姿の浅野が現われる。

ヒダカ 「誰だ・・・・・?」
リオ  「何言ってるんです? 怪獣が今そこで暴れているんですよ!?」

浅野  「見ろ(指差す)」
       その先に眼を移すヒダカとリオ。

7、 三ツ森山
                           

       イヌイとハラを覆う怪獣の影。

       その視線の先で怪獣、器用に地面を掘り返し、
       その口で木々を手当たり次第呑みこんでいく。

8、 旅館裏手                           

リオ  「草食・・・・・怪獣!?」
浅野  「ドンラウスギスギスは、こちらが手出しをしなければ
     ただああやって食べているだけだ」
       浅野をじっと睨むヒダカ。
ヒダカ 「君は・・・・・地球人ではないな?」
浅野  「(ほお、と感心して)分かるのか」

リオ  「え!? え!?」

       浅野のサンダル。

9、 LEAD本部・全景                      

トヤマ 「(OFF)あいにく、総司令は宇宙環境国際会議で今パリだ」

10、LEAD来賓室                       

       トヤマ、浅野、ヒダカ、とりあえずお茶菓子を囲んで座っている。
トヤマ 「それでヒダカ君、この方は本当に・・・・・」
       浅野の格好に怪しさ満面のトヤマ副指令。

ヒダカ 「はい。確かに宇宙人、いや、正確には異星人です」
トヤマ 「(小声)いやにはっきり言うな・・・・・」
浅野  「失礼。この体はあなた達と話がし易いよう借りている
     に過ぎない。本来の私は別の姿をしているのだ」
ハラ  「体を借りる? そんなことができるのか!?」

ヒダカ 「当然できる」
トヤマ 「(小声)だからなぜそう断言できる?」
浅野  「私は宇宙保安員のシャギラ。ドンラウスギスギスを
     保護する指令を受け派遣された。ドンラウスギスギスは
     宇宙で絶滅の危機にある。あの個体は最後の1匹かも
     しれないのだ」
トヤマ 「だから攻撃するなと・・・・・」

シャギラ「いずれ我々の護送船がやってくる。それまで、ドンラ
     ウスギスギスは自然な状態で保護していて欲しいのだ」
トヤマ 「怪獣の・・・・・自然な状態ねェ・・・・・」
       意図せず同時に、お茶菓子の煎餅に噛み付く3人。

11、三ツ森山                           

       相変わらず食事をしている怪獣。

       既に森の殆どは食い尽くされてしまった。
       双眼鏡で見張っていたリオ達。
ハラ  「確かに、なんか食ってりゃ、大人しいもんだ」
リオ  「でも、ここを食べ尽くしたら、また暴れ始めるかもしれま
     せん。危険です」

       リオのシーバーに通信。

       山を越えて飛んでくる、2機のソードBLUE。

12、ソードBLUE内                       

       ヒダカが搭乗している。

13、LEAD統合司令室                      

       司令室のトヤマとシャギラ。
トヤマ 「ドンラウ・・・・・(噛む)そのドン・・・・・何とかはY55
     地区に輸送し、隔離することにした。私達地球人が殺生を
     好まないと宇宙人さんに納得してもらうためにもな」

14、三ツ森山                           

トヤマ 「(OFF)ソードBLUEにはクレーンアームを換装し
      てある。特専の諸君はドンラ・・・・・」

15、統合司令室                          

ヒダカ 「(無線/OFF)ドンラウスギスギスですよ」
トヤマ 「そのややこしい名前は何とかならんかね」
シャギラ「宇宙に無数に存在する生物を区別するため、正確な学名は必然に長
     くなるのだが・・・・・ならば君らの言葉に直してみようか?
     分かりにくいとは思うが」
トヤマ 「それは?」
シャギラ「シマアカゴン」

       怪獣の姿を見た全員が納得した。

16、BLUEリオ機
                        

       起動確認をするリオ。

リオ  「準備完了です」

17、BLUEヒダカ機                       

イヌイ 「(OFF)こっちもOKっス」
ヒダカ 「では、シマアカゴン輸送作戦、開始!」
       操縦かんを引くヒダカ。

18、三ツ森山                           

       山を完全に食い尽くし、飢えていたシマアカゴン。
       その目の前に、突如巨大な牧草のブロックが降りてくる。

       食い付くシマアカゴン。

       ケーブルを伝わってその衝撃にヒダカ機が揺れる。

19、そのすぐ側の麓                        

ハラ  「シマアカゴンHIT!」

       大型銃を構えたイヌイ。

イヌイ 「ぐっすり眠れ! UNZ麻酔弾、発射!」

20、三ツ森山                           

       被弾したシマアカゴン、次第に動きが鈍くなり、
       入眠。
       その頭と尻尾が2機のBLUEから伸びたクレーン
       アームに堅くロックされる。

21、ヒダカ機/リオ機                       

ヒダカ「引き上げー!」
       めいっぱい操縦かんを引くヒダカ/リオ。

22、三ツ森山                           

       宙に引き上げられた巨体、徐々に空高く上がり、
       山の彼方へと輸送されていく。

23、Y55地区                          

       臨海埋立地として殺風景なY55地区。

      「威風堂々」が流れる中、次々とゴミを満載した
       ダンプカーがやってくる。

       特設テントに到着したWINDY、トヤマとシャギラが降りてくる。

トヤマ 「本当にゴミなんかを食べるのか?」
シャギラ「シマアカゴンはどんな物質も消化吸収してしまう。しかも、
     地球のように様々な物質があれば、シマアカゴンも
     飽きずに食べ続けることだろう。まさに奴にとって地球はうってつけの環境だ」
トヤマ 「怪獣に気に入られてもねェ―――」

隊員  「ソードBLUE、まもなく到着します」

       見上げる2人。

24、ソードBLUEリオ機                     

ヒダカ 「(無線/OFF)見えたぞ、あれが目的地だ」
リオ  「了解・・・・・」

       突如揺れる機体。

25、上空                             

       シマアカゴンが眼を覚まし、暴れ始めた。

26、リオ機                            

       必死にソードを水平に保ちつつ、

リオ  「麻酔が効かなかったんでしょうか!?」

27、ヒダカ機                           

ヒダカ 「いや、おそらく」

28、上空                             

       シマアカゴンの腹が鳴る。

29、Y55地区上空                        

       それでも何とか、Y55地区の上空に到着する。

トヤマ 「よーし! アームを切り離せ!」

30、リオ機                            

リオ  「了解!」
       レバーを引く。

31、上空                             

       尾を掴むクレーンからアーム部分が切り離される。

32、ヒダカ機                           

ヒダカ 「りょうか・・・・・」
       機体の底から聞こえる何かをかじる音。

33、上空                             

       空腹に耐えかねたかシマアカゴン、クレーンにが
       っぷり噛み付いている。

       尾からクレーンが離れたことで2本足で着陸したが、
       なおもその口を離そうとせず、ヒダカ機に繋がる
       クレーンケーブルを飲み込んでいく。

34、ヒダカ機                           

       操縦困難に陥るソード。

リオ  「(無線/OFF)隊長、脱出してください!」
トヤマ 「(無線/OFF)ヒダカ、早く逃げろ!」
       ブレイズタイマーを手に取るヒダカ。

35、Y55地区                          

       その時、シマアカゴンがゲップをして口を離す。

36、ヒダカ機                           

       急回転する機内、ヒダカ、誤って脱出レバーに引っかかってしまう。

37、Y55地区上空                        

       ソードから勢い良く脱出するヒダカ。

       その衝撃で、ブレイズタイマーを落としてしまう。

       タイマーはその下で口を開けていたシマアカゴンの腹の中へ―――

38、Y55地区(2日後)                     

       ゴミの山を貪るシマアカゴン。

39、特設対策テント                        

       監視を続ける方面隊員達におむすびを配るリオ。
       テントの陰で休んでいるハラ達の方にも持ってくる。

リオ  「ハラ隊員はタラコで、イヌイ隊員はシャケでしたね?」

       3人揃ってシマアカゴンを見ながら、
ハラ  「休みもせずに良く食うもんだ」
イヌイ 「この2日間で日本の廃棄物の70%を飲み込んだらし
     いっスよ。都内ではカラスが激減したそうっス」
ハラ  「反対に休んでばっかなのが・・・・・」
       テントの奥でヒダカ、椅子にもたれてぐったりしている。

イヌイ 「あれからずっとあんな感じっスね」
リオ  「疲れてるンですよ。たまにはゆっくりしてもらいましょう」

       3人の元に歩み寄るシャギラ、相変わらずサンダル履きである。

シャギラ「地球人には、色々迷惑をかける」
リオ  「いえ、廃棄物を食べてもらって、逆にこっちが助けてもらってるみたいです」
シャギラ「シマアカゴンは、かつては宇宙の各地に生息していたんだが、
     やがて狩りつくされて、遂には絶滅寸前に追い込まれてしまった」

リオ  「・・・・・」

イヌイ 「ところで、あれほど食べた物は一体どこに行くんスかね?」
シャギラ「勿論、地球上の生物同様、胃袋に入り、そして・・・・・」

ハラ+イヌイ+リオ
    「まさか!」

40、Y55地区                          

       身震いするシマアカゴン、様子がおかしい。



       息を呑む一同。



       大きく口を開けて―――大量のガスを吐き出した。




       しかし、そのガスは非常に甘く、まるで香水のような心地よさをもたらす。

41、特設テント                          

       リオ達もその香りにふんわりしてしまう。

シャギラ「この特殊な香りを狙われ、密猟され続けたのだ」

       シャギラ、ぐったりするヒダカを見つめる。
       ピー! シーバーに通信。

トヤマ 「緊急事態だ諸君、日本で調達できるゴミの塊が底を尽
     いてしまった! 今各国に輸送を頼んでいるが、間に合いそうにない!」
ハラ+イヌイ+リオ
    「エエ!? ということは!」



シマアカゴン
    「ドゴアァァァ・・・・・!」


       食べ物を無くしたシマアカゴン、暴れ・・・・・という
       より周囲に敷かれたバリケードも車両もコンクリートも、
       徹底的に食べ回り、遂にY55地区から海へと逃げ出そうとする。

シャギラ「奴を逃がしてはいけない!」
ハラ  「でもここにいたら俺達も食われちまうぞ!」
リオ  「一旦ソードに戻りましょう!」
       走るリオ達。
       シマアカゴン、特設テントの回りも地面ごと食べ進む。

42、そこから離れた場所                      

       ハッ、と立ち止まるリオ。
ハラ  「どうした!?」
リオ  「隊長!」

43、テント                            

       気だるくなかなか動けないヒダカ、テントごとシマアカゴンに
       一飲みにされてしまう―――

44、そこから離れた場所                      

ハラ+イヌイ+リオ+シャギラ
    「!!」

45、Y55地区                          

       シマアカゴン、急に腹の調子がおかしい。
       フラッシュビーム!
       その口から光球が抜け出し、
       ウルトラマンファイア登場。
リオ  「ウルトラマン! ウルトラマンが来てくれた!」
イヌイ 「でもなんで怪獣の腹の中から・・・・・」
       シマアカゴンに立ち向かうファイア、
       シマアカゴン、その口を開いて光線―――ファイア、身構え
       ―――ではなく香水ガスを噴き出す。


       これにファイア、戦意喪失してダラン、とする。


       体当たりを受け吹き飛ぶファイア。

リオ  「ウルトラマン、頑張って!」

       なんとか立ち上がり、勇んで構えるファイア。
       しかし、その向きは相手と真逆!
       背中からシマアカゴンに圧し掛かられ、食い付かれようとする。

       カラータイマーも赤に変わった。
       危機一髪!

シャギラ「来たか・・・・・」

      天から降りてくるUFOの一団、その特殊光線を受け、
      すっかり大人しくなるシマアカゴン。

   ×          ×          ×

      Y55地区に駆けつけたトヤマ。
トヤマ 「そうか、連れて行ってしまうのか。地球のゴミ問題解決のためにも、
     残してくれてもよかったんだがね」

シャギラ「フム・・・・・そこまでいうならそうしようか」
トヤマ 「本当か?」

      シマアカゴンの腹の下に卵がある。

シャギラ「シマアカゴンは空腹になると死ぬが、
     逆に十分に餌をやれば2日に1個、卵を産む。
     だがその繁殖力の強さが自ら食糧不足を起こし、絶滅
     危機の一原因になったのだ」



トヤマ 「是非、連れ帰ってください!」



      UFOに吸い込まれるシマアカゴン、とその卵。
      UFOは空に消えていく。


ヒダカ 「君は行かないのか?」
シャギラ「私は、この体を返さないと」

46、旅館「宮の屋」・露天風呂                   

      風呂に浸かるハラとイヌイ。

ハラ  「極楽、極楽・・・・・」
      三ツ森山にすっかり緑が戻っている。
イヌイ 「シャギラ達がおわびに再生していったんスね」

47、三ツ森                           

      浴衣姿のヒダカとシャギラ。
シャギラ「これを」

      ヒダカに黒いカードを手渡す。

シャギラ「だが、君がいるならば私達が心配することもないだろう。
     さらばだ、ウルトラマン」

      浅野の体を抜け出し、球体が空で待つUFOへと昇って・・・・・消える。

リオ  「隊長―!」

      湯上りのリオが駆けてくる。
リオ  「隊長のために皆で休んだんですよ。疲れてたみたいだから」
ヒダカ 「そうだな。せっかくだからゆっくりしないと。でも今頃、副指令は」

48、統合司令室                          

       苦情電話の集中豪雨にさらされるトヤマ。
ヒダカ 「(OFF)各国から集めたゴミにてんてこ舞いしてるだろうな」

49、三ツ森                            

リオ  「それは?」
       ヒダカの手のカード。

ヒダカ 「シャギラが置いていった。記録媒体らしい。何々・・・・・」


       沈黙するヒダカ。

リオ  「何か書いてあるんですか?」

50、宇宙                             

       地球を離れるUFOの一団。
ヒダカ 「(OFF)宇宙時間50期以内に絶滅危機のある生物・・・・・
     ノンマリティアヌス・・・・・生息・太陽系第3惑星・・・・・地球―――――」

                  《 以下次回 》


<登場怪獣>

絶滅怪獣 シマアカゴン

宇宙学名は「ドンラウスギスギス」。
あらゆる物質を消化吸収し、精神を安らがせるガスに変える。
基本的に大人しいが、その食欲は誰にも止められない。

空腹になると死ぬが、
十分な栄養があれば、2日に1個、卵を産む。

宇宙保安員 シャギラ

様々な宇宙人により構成される宇宙保安員の1人。
温泉客・浅野の体を借りて活動する。
もちろん、サンダルを履いている。(⇒「宇宙指令M774」)


◆ ◆ ◆

夏休み子供スペシャルで第2シーズン第1話です。

ある意味で止められない怪獣、歯が立たないウルトラマン、
右往左往する隊員達。
全体的に「空の贈り物」のオマージュです。

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