③逆襲ゲハラ
あらためて見ると、なんて不気味な顔・・・。
意図的に雨粒をいれていたけど、こっちを見てニヤついているような・・・。
もし、自分の怪獣づくりに3要素を立てるなら、
①シンプル
②特徴
③愛嬌だと思う。
シンプルで特徴が必要なのは当然として、どうも怪獣に愛嬌を求めてしまう。
どうやらあんまりグロい系の絵が好きじゃないからだ。
だからあの着ぐるみのなんともいえないカンジが逆に好きだった。
ただ、
この頃は精神的にとっても参っていた!
ので、なんだか異様な状態でゲハラをリメイクしていた。
怪獣コンテストも締切り間近だったので、
一度あげた怪獣なら改めて「全身の設計像」を見せる必要なく
本来描きたかった「雰囲気画」を描けると思い
その総決算としてゲハラを選んだ。
なにせ根拠なく「大怪獣」としていたゲハラだったので、
ブラウン管で見たらこうだろう、というカンジでワンカットを絵にしてあげることにした。
その一方で
「今なら
『ゲルニカ』を描いた時のピカソの気持ちがわかる」ような精神が
もっと自分が嫌がる怪獣へと改造していった。
もうカッコよさなんかは、遠くにぶんなげて
怖くて、おぞましくて、あんまり近寄ってもらいたくない怪獣へ。
正直自分が出会いたくない怪獣へ。
はっきり言って「キライ」な怪獣を描いていた。
怪獣は大好きなはずなのに。
ところが異常にこだわって、
黒同士でゴジラに見えないように、わざと猫背にして
ゴジラの
シルエットを消してみたり、
夜中にびくびくしながら
幽霊画や
妖怪画を研究したり、
背景の後は雷、その後は雨、さらに毛の先の雨粒と
レイヤーを重ねたり、
カラー染めが下手なことを逆手にとって
コミックソフトでトーンの何重張り。
2足恐竜型怪獣の宿命だろう、
いかに「ゴジラ」でなくて「ゴジラ」が根源基礎である「怪獣」として成立させるか
・・・のせめぎ合い。
そのせいで毛が増えた。
気づいたら5日間もかかって描いていた。
今思うと、嫌いだったのは自分自身だったんだろうな。
就職活動で初めて挫折したときのなんとなくの疎外感。
それが絶滅危機にある怪獣映画となんとなくかぶったんだろう。
「アンパンマン」の歌詞で泣けてきたあの頃。
で、その後の放送で
「みうら賞」。
え?着ぐるみ?
映画化?
なんてこった・・・!
④につづく。