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#6 パラサイト・タワー (Aパート)

空想特撮シリーズ
ウルトラマンファイア


   パラサイト・タワー
        

登場人物

      ヒダカ・マコト
      ナナセ・リオ
      ハラ・カツヒコ
      イヌイ・ケイスケ

      九堂 高志(くどう たかし)・・・・・九堂コミュニケーションズ社長


      全自動番犬システム アンドロイド・セーラ(A/B)
      電脳寄生虫サイバラス

      ウルトラマンファイア


      「ウルトラQ 空想特撮シリーズ」
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1、 九堂コミニケーションズビル・全景                
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       天高くそびえ立つ超高層ビル。
イヌイ 「(OFF)地上300m、全システムが最新コンピュータで
     管理されている。まさにバベルの塔っスよ」

2、 ビル内・展望ロビー                      

       展望ガラスからの風景に、まじまじと見入ってい
       るリオ。
ハラ  「ところで、俺達をここに招待したお前の友達、九堂っ
     てのは何処さいるんだよ?」
イヌイ 「友達じゃなくて只の腐れ縁っス。あっちから一方的に
     呼びつけたわけで」
       と、ヒダカ、背後に気配を感じてふりむく。
       そこには大変美しいメイド姿の女性。
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女性「ワタシ、アンドロイド・セーラ デス」
       ドリンクを差し出す。
ヒダカ 「こりゃどうも」

       そこへ、
九堂  「(OFF)ようこそ特専の皆さん」
       何処からともなく声。
       と、大型スクリーンから量子化ノイズが現れ、
       黒縁眼鏡にモヤシのような細身、
       九堂(くどう)社長の姿が徐々に具現化する。
九堂  「ボクがこの、九堂コミュニケーション社長、
      九堂高志だ」

3、タイトル                           

      「ウルトラマンファイア」
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      「パラサイト・タワー」
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(F・I) クレジット・タイトル――         (F・O)
      「電脳寄生虫サイバラス 登場」
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4、 社長室・扉の前                          

       九堂がパスワードを打ち込むと、セキュリティが解除され、
       社長室の壁がするするとスライドして消えていく。

5、物質電送機安置室                       

       そこにあったのは、リングを重ねたような奇妙な機械。
九堂  「さっきのデモンストレーションで見てもらったように、
      これが全ての物質を自由に移動できる物質電送機だ。このボクが作った」
ヒダカ 「物質電送機?」
イヌイ 「(苦々しい顔で)物質を信号データに変換して、コンピュータネットワークを
     通して別の場所へ転移させる装置っスよ。理論的には」
       九堂、自らに恍惚としている。
九堂  「天高く聳えるタワー、完全無欠のコンピュータシステム.
     それだけでボクは満足しない。それではどこぞの
     防衛隊と同レベルだからね」
       軽くイヌイらに目配せをする。
九堂  「しかしこの物質電送機が世界に革命を起こす。
     もう車も船も飛行機も必要ない。ボクらはただスクリーンの
     前に座っていればいいんだ」
リオ  「その・・・・・電送機は何でも送れるんですか」
九堂  「そう、何でも。今は試験中だから、このビル内でしか行き来できないが、
     実用化されたらLEADもこれで出動すればいい。サイバー防衛隊だ」
リオ  「サイバー・・・・・」
九堂  「その気になれば怪獣だって―――ハッハッハ・・・・・」

5、 エレベーター                         

       帰り足の特専の一同。
ハラ  「胸糞悪ィ。結局自慢を聞くためだけに来たみてェだ」
イヌイ 「昔から性格の曲がった奴だったからなァ。前に自分に負けたことを
     まだ根に持ってるんスよ」

6、 社長室                            

九堂  「ああスッキリした。これでイヌイも、ボクがナンバー
     ワンだと分かっただろう・・・・・」
       自分のパソコンを確認すると、メールの着信を知らせている。
九堂  「メール? 誰からだ・・・・・」
       「差出人・サイバラス」とあり、クリックすると

       ―――

九堂  「サイバラス!?」
       パソコンに次々開くウィンドウ。セキュリティウォール解除・・・・・
       ・・・・・パサ=ルート解放・・・・・プログラム始動・・・・・
       セカイセイフク、セカイセイフク、セカイセイフク・・・・・

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7、 エレベーター                         

       ガクン、と急停止するエレベーター。
ハラ  「っ痛、急になんだ!?」
       次の瞬間、急速に下降するエレベーター。
特専  「うわあああ・・・・・!」
       40階・・・・・30階・・・・・みるみる下がる。
ハラ  「これもデモンストレーションなのか!?」
リオ  「このままじゃ地面に激突する!」
       イヌイ、とっさにカードシーバーとエレベーター
       の基盤を接続し、信号を打ち込む。
       7階・・・・・3・・・・・2・・・・・
       1階に着く途中安全装置が作動し、扉が開く。

8、 1階エントランス                       

       コンピュータが制御不能になり、従業員達も戸惑っている。
リオ  「だめです。出入り口の自動ドアが開きません」
イヌイ 「セキュリティが作動しているんだ」
ハラ  「これもあのメガネ社長の仕業なのかよ!?」
       力任せに自動ドアを押すハラ、が、ドアに電撃が走る。
ハラ  「(感電)!!!!!」
イヌイ 「でも・・・・・防犯システムにしては大袈裟すぎる!」
       シュウウ・・・・・
       天井から染み出す白煙。
       それを吸った従業員達、あっという間に眠ってしまう。
ヒダカ 「睡眠ガス!」
ハラ  「これが完璧な防犯装置だってのか・・・・・ビビビ・・・・・」
       まだシビレている。
       白煙に包まれる特専。

   ×         ×        ×

       換気ダクトが白煙を吸いだしていく。
       シーバーに「空気レベル正常」の表示。
リオ  「もうボンベ無しでも平気です」
       咥えていた小型酸素カプセルをベルトボックスに戻す。
ヒダカ 「どうやら僕らを外に出してくれなさそうだ」
ハラ  「(イヌイの首ねっこをつかみ)オイ! あいつァ何考えてんだ!」
イヌイ 「自分に聞かれても知らないっスよ!」
       天井を見上げて
イヌイ 「本人に聞かないと―――!」
       彼らの背後に、量子化ノイズが集まっている。
       何かが電送されてきていた―――

9、 エレベーター前                        

       先ほどのショックで、ウンとも動かないエレベーター。
ヒダカ 「屋上までは、歩いていくしかないな」
ハラ  「ヒエエ! 上まで何回あると思ってんだ!」
イヌイ 「だから自分に当たらないでくださいよっ!」
リオ  「あっちに非常階段があります!」
ヒダカ 「よし、いくぞ!」
       パシュッ!
       ヒダカの足元に撃ち込まれたレーザー。
       振り向くと、屋上にいたアンドロイド・セーラがいた。
       どうやらその指先からレーザーを放ったらしい。
特専  「!」
       そのか細い指が、ヒダカ達を狙う。
ヒダカ 「・・・・・急げ!」
       レーザーをかいくぐり、非常階段に逃げ込む特専。

10、非常階段
                          

       十階程一気に上って来た特専。
       皆息を切らせている。
ハラ  「オカシイ、オカシイぜこの建物!」
リオ  「私も・・・・・そう思います」
ヒダカ 「どうだ?」
       シーバーを開いているイヌイ。
イヌイ 「やっぱり・・・・・外とは通信できないっス。このビルから
     強力な妨害電波・・・・・このテッペンから」
ヒダカ 「テッペンか・・・・・」
ハラ  「ハア・・・・・でもちっと休ませてくれよう。喉も渇いたし
     ・・・・・」
        ハラの前に差し出されるドリンク。
ハラ  「おう、気が利くな優等生」
リオ  「え!? 私何もしてませんよ」
ハラ  「!?」

        そこに、セーラが電送されてくる。
ハラ  「なんでここに!」
ヒダカ 「どこに逃げてもお見通しってことか」
イヌイ 「電送移動だ!」
       その装甲に、ビームが放たれる。
       オーヴァル・ショットを構えるヒダカ。
リオ  「隊長!」
ヒダカ 「先に行って出口を探していてくれないか?」
       その意を汲み取った3人、
イヌイ 「行こう!」
       ヒダカを残し、上階へと走る。
ハラ  「大将、ホラ!」
       自分のショットをヒダカに投げ渡す。
       階段を上る3人を狙うセーラ。

ヒダカ 「おっと、こっちにもいるぜ」
       2丁を連射、しかし、セーラの装甲は思ったより頑丈で、
       メイド服を焦がすにとどまった。
ヒダカ 「ウン・・・・・こりゃまいったな」
       パシュン!
       背後から右肩を撃たれるヒダカ。
ヒダカ 「双子かよ・・・・・」
       もう1体(B)が電送されてきた。

11、九堂ビル付近                        

       その外では、街灯や信号機、あらゆる電気製品が放電し、
       独りでに爆発していた。
       そして、人々が見上げる先では、
       九堂ビルの最上階が強烈な電光を放っている。

12、非常階段・最上階                      

       非常階段と最上階は防火扉で画されている。
ハラ  「ダメだ。全然ビクともしねェ」
リオ  「イヌイ隊員? 何を?」
イヌイ 「ショットのバッテリーパックを・・・・・こう繋いで・・・・・
     よし、即席の時限爆弾っスよ! 離れて!」
       扉に取り付け、イヌイ達は身を隠す。

       ドン!

       爆音と共に、煙が上がる。
リオ  「ゴホゴホ・・・・・さすが武器についてはプロですね」
イヌイ 「当然!」
       煙の中、最上階に入るリオ達。
       その足元で、何かが蠢いている。
リオ  「?」
       その顔面に、奇怪な虫型の生物が飛び込んでくる!
リオ  「キャア!」
       何とか振り払う。
       爆煙が消えると、最上階の天井、床、壁、至るところに50センチ程の蟲、
       電脳寄生虫サイバラスが取り付いていた!
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ハラ  「ひ、ひええ!」
リオ  「蟲! 蟲ですよこれェェ!」
イヌイ 「そうだ九堂・・・・・九堂はどこに・・・・・!?」
       ガサガサガサ・・・・・
       3人を見つけた小型サイバラス、一気に迫ってくる。
リオ  「嫌っ!」
       顔を背けるリオ。
       しかし全く見ていないわりには
       狙ったようにショットで次々とサイバラスを撃ち倒していく。
ハラ  「よし、俺も!」
       が、腰にショットがない。
ハラ  「しまった! 大将のとこだ・・・・・」
       瞬く間にサイバラスに囲まれるリオとハラ。

⇒Bパートにつづく

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