←Aパート32、LEAD基地・統合司令室 S
「LEAD本部・統合司令室 a.m.11:47」 厳しい顔で通信しているホシノ。
ホシノ 「ソードBLUEの消息はまだわからないのか」
隊員 「(無線画像/OFF)はい。・・・・・それに、捜索の打ち切り、
帰還命令を受けまして・・・・・」
ホシノ 「(憤怒)帰還命令!? 私はそのような命令は出していないが!」
司令室の扉が開き、誰かの足元。
声 「それは私の命令だ」
ホシノ 「!」
パイプを咥え、一人の外国人が立っている。
33、ソードBLUE内 ヒダカとハラが戻ってくる。
ヒダカ 「どうだ、飛べそうか?」
コクピットの下に潜って修理をしていたイヌイ。
イヌイ 「それがナカナカ・・・・・。スタビライザーがいかれちゃったみたいで、
ちっとキツイっス」
ハラ 「ん? 優等生はどこにいったんだ?」
隅っこで毛布を被って震えているリオ。
ハラ、その毛布を引き剥がす。
ハラ 「おまえなあ、もっとシャキッとしろよ!」
毛布を取り返すリオ。
リオ 「でも、本部と通信もできないし、暖房の燃料もいつ無くなるか
知れないんですよ」
ヒダカ 「そこなんだが、どうやらここは、北極ではないらしい」
リオ 「え!?」
ヒダカ 「シーバーに位置情報が表示されない。妨害電波かなんかが
でてるわけじゃなさそうだし、地球上ではこんなことにはならないはずだ」
イヌイ 「地球じゃない!? じゃあまさか宇宙にでも来ちゃったとか・・・・・!?」
ヒダカ 「そのまさかかもしれないな。あのオーロラが超空間の
入り口だったらしい」
リオ 「そんな・・・・・じゃあ救助も・・・・・来ない・・・・・」
どん、と胸をはたいて、
ハラ 「よし、じゃあ俺があっためてやる!」
リオ 「ホントですかぁ?」
全員興味深そうにハラを見る。
ハラ 「そうなんです!」
34、ソードBLUE外 BLUEに降り積もった雪が、ドサッと落ちる。
35、ソードBLUE内 カップ麺から湯気が立ち上る。
イヌイ 「まさか、ハラ隊員の隠し食料が役にたつとは」
ハラ 「感謝しろよ、今回は特別だぞ」
リオ、いち早くスープまですすり完食した。
36、雪原 外に出てきた4人。
リオはまだ毛布を被ったままである。
リオ 「中でじっとしてましょうよ。ここが何処かも分からないのに」
ヒダカ 「それを調べるのさ。ただじっとしていてもつまらないだろ?」
ハラ 「しっかし・・・・・見渡す限りの銀世界。ホントのホントは
やっぱし北極のど真ん中なんじゃねえか」
小高い氷山の向こうから、甲高い鳴き声が聞こえる。

盆地で、
次元竜鳥クオンの群れがくつろいでいる。
氷山の上から観察する特専。
イヌイ 「あいつら・・・・・怪獣っスか!?」
ヒダカ 「まず動物図鑑には載ってないことは確かだ」
ハラ 「(指差して)お、おいあっち!」
ギャアオオウ!
遠くから低い鳴き声が轟く。
ズグン、バキバキ。ズグン、バキバキ。
重い足音と、地面が陥没する音。
雪原の果てに、
重甲怪獣ドモスが現れる。

その口からこぼれるクオンの羽毛。
大混乱のクオンの群れ。
ヒダカ 「北極にしては、いやに騒がしいな」
リオ 「昔から海で飛行機が行方不明になる話は聞いていましたが、
まさか私達もその仲間入りをするなんて・・・・・」
クオン(リーダー)
「クオオオ・・・・!」
リーダー格の一匹の鳴き声で、統率を取り戻す群れ。
一斉に羽を掲げ、振るわせ始める。
すると、それぞれの羽の振動が美しい音を共鳴させる。
その音を嫌がり、苦しむドモス。
リオ 「きれいな音・・・・・まるで歌っているようです」
ハラ 「でもアイツの耳には只の騒音に聞こえてるみてえだ」
イヌイ 「ハラ隊員の歌と同じっスね」
ひっぱたかれるイヌイ。
ドモス、暴れて群れに向かって氷塊を撒き散らす。
その衝撃で共鳴が乱れ、音が止む。
進撃し直すドモス。
逃げる群れが、一斉に特専のいる氷山を駆け上がってくる。
その混乱に巻き込まれる特専。
コロコロ・・・・・と球体がリオの前に転がってくる。
拾うリオ。
リオ 「ほかほかだ・・・・・」
球体は、ぼやーっと赤く点滅している。
リオ、こっそりと懐にしまう。
あっという間に特専の周りを走り去る群れ。
ハラ 「ヤバイぞ! 今度は俺達が狙われる!」
迫るドモス。
ハラ 「ソードがやられたら俺達、凍死確実だァ!」
ビシュッ! ドモスにビームが命中する。
オーヴァル・ショットを構えたヒダカ。
ヒダカ 「怪獣をひきつけてくる」
走っていくヒダカ。
ハラ 「大将!」
ズウン! ヒダカを追って向きを変えたドモス、
その踏み込みで、雪原に亀裂が走る。
ハラ・イヌイ
「う、うわあ!」
リオ 「ハラ隊員! イヌイ隊員!」
その亀裂は、ハラ・イヌイとリオを分断し、
リオの乗る地盤のほうは大きく沈降、
その崩落に巻き込まれるリオ。
37、そこから少し離れた雪原(吹雪) 天候が吹雪いてくる。
背後にショットを放ちつつ、走ってくるヒダカ。
それを追うドモス。
周りを見て、ソードからだいぶ離れたことを確認し、
ヒダカ、ブレイズタイマーを取り出す。
変身!



ウルトラマンファイア登場。
ドモスが豪腕で襲い掛かる。

いつものように飛びかかってパンチ・・・が、
ドモスの分厚い肉体はこの衝撃を吸収してしまう。
吹雪の中で動きが鈍いファイア、ドモスに圧倒される。
ぶちかましからネックロックを受け、ほどいた所で
豪腕にはじきとばされるファイア。
タイマーがいつもより早く点灯する。
しかしファイア、Burst Limitに変わらない。
焦るファイア。
そこをドモスに捕まり、締め付けられていく。
苦しみもがくファイア、タイマーが激しく危険を告げる。
ファイア「ダハーッ!」
捨て身の足蹴りで、ドモスを跳ね飛ばす。
その尻尾をつかみ、ジャイアント・スイング!
渾身の力を込め、ドモスを投げ飛ばす。
ドオン!
脳震盪をおこし、立ち上がれず、そのまま気絶するドモス。
それを見て、膝をつくファイア、空へ。
38、その上空 ぐるっと上空を一回りするファイア。
辺りは雪と氷しかない。
高台を見つけ、両手からリング状の光線を出す。
すると、ファイアの姿が薄くなり、消える。
39、高台 
リング光線から、ヒダカが現れる。
ヒダカ 「この世界では、太陽エネルギーが十分に発揮できない・・・・・
だから暴走も起こらなかった・・・・・。
どうやらとんでもないところに迷い込んだようだ」
と、氷山の上に座礁した測量船の姿を見つける。
ヒダカ 「あれは・・・・・!」
重い足取りで進むヒダカ。
吹雪が舞う。
40、LEAD基地・統合司令室 S
「LEAD本部・統合司令室 a.m.11:57」 ホシノに事の次第を報告しているFAST。
サワタリ「はい。確かに我々の目の前で、ペギラは姿を消しました」
ホシノ 「そうか・・・・・」
椅子に座っていた外国人がふりかえる。
ジェイ 「彼らが、極東支部ご自慢のFASTか?」
FAST「!」
ホシノ 「パリ中央支部のジェイ副指令。いってみればLEADのNO,2だ」
イザキ 「中央支部のトップがなぜここに・・・・・!」
ジェイ 「彼らは消えたのだ」
サワタリ「彼ら!?」
ホシノ 「ペギラだけではない。太平洋では、特専のソードBLUEも
消息を絶っている」
アカツキ「特専も、消えた・・・・・!?」
ジェイ、ゆっくりだが厳しい顔で、
ジェイ 「諸君、現在をもって太平洋全域、空、海の航行全てを禁ずる!
いかなる理由があろうと、何者も立ち入りは許さない!」
41、雪原 猛吹雪。
ハラ 「大将オオ! ナナセェェ!」
イヌイ 「ハラ隊員! この吹雪じゃ自分達も凍っちまいます!
早くソードの中に!」
ハラ 「だが・・・・・! まだ大将達が・・・・・ちくしょうォォ!」
吹雪の中、むなしくこだまするハラの声。
42、吹雪の中 リオが気絶している。
その懐にしまっていた球体にヒビが入り―――
《続》
<オマージュのみなさん>
怪獣魔境モノ⇒ウルトラマン「怪獣無法地帯」「怪彗星ツイフォン」
作戦名U-02⇒ウルトラマン「ジャイアント作戦」ウルトラ作戦第2号
前後編で怪獣魔境モノです。
タイトルは「科特隊宇宙へ」にはじまり「ウルトラ警備隊西へ」「GUTSよ宙へ」ときて
クールの山場、前後編におなじみの語調から。
構成上、どうしても誰か「狂言回し」がいてくれないと困るので
大御所ペギラ様に出てもらいました。
ペギラは体の回りを無重力にすることで重い体を浮かせて
飛行可能になる・・・という勝手な設定までつけて;
今回は普通に変身したヒダカですが
彼のモデルは1話に一回死ぬ男、「キャプテン・スカーレット」なので
これからもピンチになってもらいます。
最近のCGに見慣れると、
ジェリー・アンダーソンの完膚無きまでの爆破が素敵すぎです。
⇒次回予告